引用元:俺が実家に帰省したとき、飼い猫としゃべったことをただ書くわ
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1409236779/


前回:
俺が実家に帰省したとき、飼い猫としゃべったことをただ書くわ

44: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)10:14:28 ID:tChJ1uJVH
続きはよ

45: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)12:43:06 ID:qh1u6mI4c
俺もこんな風に猫とお話したかったわ

47: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)21:50:35 ID:i2Om6v8a5

俺「とにかく、さかり時期のおまえは勉強のジャマだったんだよ」

俺「しかも夏だと、毛をまきちらすし」

猫「それもしゃあない」

猫「ずっと同じ毛をまとっていては、不潔だ」

俺「おまえ、風呂に入らないもんな」

猫「誰があんな恐ろしいものに入るか」

猫「全身に水を浴びるなんて……身の毛がよだつ」

俺「12年生きてて風呂に入ったの、5回もないだろ」

俺「そういや。一回、洗ってやろうとしたオレを引っかきまくったよな」

猫「人間の生活習慣を猫におしつけようとしたバツだ」

48: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)21:53:39 ID:i2Om6v8a5

俺「トイレとかは数回でおぼえて、感心したのになあ」

猫「それとこれとはべつだ」

俺「ていうか、我が家に来たときのこと、記憶にある?」

猫「うっすらとなら」

俺「すごかったなあ、あのときのおまえ」

俺「もうずっとリビングの中を走りまわってさ」

俺「猫って、こんなに元気な生き物なんだってビックリしちゃったよ」

猫「ずっと狭いケージの中にいたんだ」

猫「子どもだったわたしは、いきなりの広い空間に興奮したんだろ」

俺「二時間ぐらい、転げまわるように暴れてたもんな」

52: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:00:01 ID:i2Om6v8a5

猫「そっちこそ、おぼえてるのか」

俺「なにを?」

猫「子どものわたしに、たえずベッタリだったこと」

俺「忘れてないよ」

猫「眠りからさめて目をあけると、かならずおぬしの顔が目の前にあったからな」

俺「だって当時のおまえって、メチャクチャかわいかったんだもん」

猫「今は? ……まあいいや」

猫「おぬしはすぐに目をのぞきこんでくるからな。
  それもうっとうしかった」

俺「目があうと絶対顔をそらすよな、おまえ」

猫「目をあわせるのは好きじゃない」

猫「そうじゃなくても、おまえは存在そのものがやかましい」

俺「なんだよ、存在がやかましいって」

53: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:07:40 ID:i2Om6v8a5

俺「まあでも、おまえって子どもキライだよな」

俺「イトコたちが来ると、すぐどっかに隠れちゃうもんな」

猫「あの双子のガキんちょか」

猫「来客が子どもだと、家に入ってくる前にわかる」

俺「どうして?」

猫「子どもの足音は耳が痛くなるから」

俺「なるほど。あいつらドタドタ歩くもんな」

猫「おぬしの足音は、ここ数年でだいぶマシになったな」

俺「オレも成長するんだよ」

猫「からだはちっこいままに見えるが」

俺「うるせー」

55: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:16:01 ID:i2Om6v8a5

俺「ていうか、おまえって一番母さんになついてるじゃん」

俺「なんで母さんなの?」

猫「愚問だ。お母さんがわたしの世話を一番してくれるからな」

俺「オレだってするじゃん」


猫「どこがだ。エサやりだってときどきしかしない」

猫「シモの世話はまずしない」

猫「気をきかせて、暖房をつけることもしない」


俺「……」


猫「その点、お母さんはおまえとは真逆だ」

猫「よく気がつき、よく気が利く」

猫「どちらになつくか、考えるまでもない」

56: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:19:35 ID:i2Om6v8a5

猫「なにより、お母さんの足音は静かだ」

俺「はいはい。おまえは世話してくれて、静かな人間が好き、と」

俺「あれ? でも、オレが寝てるときはおまえって、
オレの上にのってくるよな」

猫「おぬしは体温が高くて、寝床にはちょうどいいからな」

俺「うるさいんじゃないのかよ」

猫「寝てるおぬしがたてるのは、寝息だけだからな」

俺「ふーん」

猫「ただし、春のおまえは寝てるときもやかましいな」

俺「春は花粉症で、鼻がつまってるんだよ」

57: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:29:14 ID:i2Om6v8a5

猫「ところで。さっきから誰と比べてる?」

俺「え?」

猫「あきらかに誰かとわたしを比較してるだろ」

猫「トイレの話やわたしが家にきたときに、
  こんなに猫って元気なんだなって言葉でわかった」

俺「……」

猫「おそらく、前に飼ってた猫のことを言ってるんだろ」

俺「おまえ、あたまいいな。猫のくせに」

猫「おぬしはあたまわるいな。人間のくせに」

59: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:38:43 ID:i2Om6v8a5

俺「まあ、そのとおりなんだけど」

俺「おまえの前にも、いっしょに住んでた猫がいたんだよ」

猫「それで?」

俺「そいつはミルクって名前なんだけど」

俺「野良猫だったんだよ」

猫「誰かからもらったのか?」

俺「ううん。ついてきた」

猫「ついてきた? 野良猫が?」

俺「そう。まだ8歳のときだよ」

俺「学校帰りだったんだけど。
  たまたま歩いてるあいつと、目があったんだよ」

俺「そしたら、家までついてきた」

60: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:50:47 ID:i2Om6v8a5

猫「めずらしいこともあるんだな」

俺「母さんとオレの予想では、たぶん本当によわってたから……かな」

俺「どうしようもなくて、人間にすがるしかなかったんだと思う」

猫「そのすがる相手が、たまたまおぬしだったと」

俺「そういうこと」

俺「真っ白な猫でさ。目の色が左右でちがったんだよ」

猫「ふーん」

俺「おまえもちっさいけど、あいつはもっとちっこかったんだよな」

62: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)22:57:17 ID:i2Om6v8a5

猫「そいつはどうなった?」

俺「いなくなった」

猫「……」

俺「うちで育てるようになってから、一ヶ月後にきえた」

俺「もともとおまえとちがって、夜以外は放し飼いにしてたんだ」

猫「だからさっき聞いたんだな、猫が消える理由」


俺「うん。ずっと気になってたんだよ」

俺「もちろん思い当たる場所は全部探したけどさ、見つからないし」

俺「あのときは放し飼いにしてたこと公開して、しばらくは泣いてたな」

63: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:02:02 ID:i2Om6v8a5

猫「聞く相手をまちがえたな」

俺「かもね」


猫「……」

俺「……」


猫「で、そのあとわたしと会ったわけだ」

俺「そう。なんとなくペットショップに寄ったら、たまたまな」

猫「なんでわたしを飼いたいと思った?」

俺「直感、かな」

猫「もっと具体的な理由はないのか」

64: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:06:11 ID:i2Om6v8a5

猫「毛並みが美しかったから、とか。
  目がくりくりしててかわいかったから、とか」

猫「以前飼ってた猫と似ていた、とか」

俺「真っ白なあいつと、アメショーのおまえは似ても似つかんわ」

猫「それもそうか」

俺「まあでも、なんかいっしょに住みたいな、って思ったんだろうな」

猫「ひと事みたいに言うんだな」

俺「昔の自分のことって、案外わかんないんだもん」

猫「いいかげんなヤツ」

俺「まあね」

猫「……そういえば、わたしもずっと気になっていたことがある」

俺「ん?」

猫「わたしの名前」

65: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:12:12 ID:i2Om6v8a5

猫「なんであんな名前にしたんだ」

俺「へえ。おまえも自分の名前の由来が気になるのか」

猫「すこし」

俺「……ミルクは、真っ白だったこと。
  はじめてあげたのが、牛乳だったからその名前にしたんだ」

俺「ほんとは猫に牛乳ってあんまりよくないらしいけどな」

猫「それが名前の由来なのか。ガッカリだ」

俺「10歳にもなっていないガキんちょが考えたんだぞ」

猫「で、わたしの名前は?」

俺「……おまえの名前かあ」

猫「てきとうに考えたのか?」

俺「まさか」

66: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:17:56 ID:i2Om6v8a5

俺「なぜかおまえを見てたら、おジャ魔女ドレミってアニメを思い出してさ」

猫「アニメ?」

俺「だから、最初はおまえの名前を『ドレミ』にしようかと思ってた」

猫「ほとんど考えてないじゃないか」


俺「でもそれだと、安直すぎるからさ」

俺「あたまの文字をいろいろ入れかえてみたんだよ」

俺「『ファレミ』とか『ミレミ』とか『ソレミ』とか」


猫「で、最終的に今の名前になったわけか」

俺「うん。三文字ってうっとうしいからな」

俺「それに、その名前だと漢字をあてれたからな」

猫「なるほど」

67: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:19:00 ID:6MHQeax6q
おジャ魔女どれみとか懐かしいなww

68: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:24:13 ID:g2SMFtHaF
レミィィィィィィィ

70: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:27:58 ID:i2Om6v8a5

猫「よし、もう気になったことも知れたし帰っていいぞ」

俺「ゲンキンなヤツ」

猫「おまえの帰りのバスの心配をしてるんだ」

俺「まだ大丈夫だよ。
  ていうか、気づかいとかできるんだな」

猫「ふん。おまえといると疲れるからな、さっさと帰ってほしいだけだ」

俺「しんらつだなあ」

猫「……実際、あまりよくないんだ」

俺「……」


猫「昔に比べると、食欲も減った」

猫「出る小便の量も減った」

猫「階段の手すりにのぼるのを、失敗するようになった」


俺「……」

71: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:31:30 ID:0mSdhXDFD
うちの子は2歳と3歳、いつかこんな日がくるんだよな

72: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:35:17 ID:8YHCq5cvL
なんかじんわりと来るな

73: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:36:52 ID:i2Om6v8a5

俺「……なにかあったら、きちんと言えよ」

俺「オレでも、母さんでも、オヤジでもいいからさ」

猫「おバカなおぬしの前だから、こうしてしゃべってるが」

猫「口は災いのもと。
  ふつうの人間の前で、口を開こうとは思わんな」

俺「フツーじゃないのか、オレは」

猫「それに。安心しろ、まだまだ死んでやらないから」

俺「あたりまえだろ」

猫「……前のヤツが疾走したとき、おぬしは泣いたんだったな?」

俺「うん? そうだけど?」

74: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:45:43 ID:i2Om6v8a5

猫「もし……もし、わたしが死んだら、また泣く?」

俺「……」

猫「なぜ黙る」

俺「いや、そういうのって考えたくないから」

猫「考えろ。考えて、想像して」

俺「…………まあ……泣く、かなあ」

猫「ふーん。満足に世話もしないくせに?」

俺「それとこれとはまたべつだろ」

俺「でも、できりゃ泣かせてほしくないな」

猫「安心しろって言っただろ。そう簡単にはくたばらない」

75: 名無しさん@おーぷん 2014/08/29(金)23:56:52 ID:i2Om6v8a5

猫「猫が死ぬ直前に消える、理由」

猫「すこし考えたら、予想がついた」

俺「え? わかるの?」

猫「あくまでわたしの予想だ」

猫「自分が弱っているときに、敵に襲われたらどうする?」

俺「オレに聞かれても」

猫「ふつうに考えれば、すぐに答えは出るだろ」

俺「困るだろうな。弱ってたら反撃もできないし」


猫「それが、そのまま答えにつながる」

猫「死の直前ということは、当然弱っているってことだ」

猫「だったら、身を隠すのが最善の策だろう」

78: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:02:56 ID:6RHahQcJM

俺「そういうことなの?」

猫「猫のわたしが言うんだ、まちがいない」

俺「……」

猫「どうした?」


俺「もし、だよ。おまえの言ってることが本当だったらさ」

俺「ミルクは、オレや母さんを敵だと思って消えたってことになるでしょ」

俺「それに、もしかしたらおまえも……」


猫「わたしは最期までここにいたい。そう思ってる」

猫「それに、ミルクは野良猫だったんだろ」

猫「野生は野生に帰る。ただ、それだけのこと」

81: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:09:51 ID:6RHahQcJM

猫「ミルクはおぬしに感謝している。絶対に」

俺「断言するんだな」

猫「だって、わたしもそう思ってるから」

俺「おまえ……」

猫「わたしはとっても恵まれてる」

猫「それぐらいは飼い猫のわたしでも、よくわかる」

猫「野良猫だったミルクはわたし以上に、
  おぬしやお母さんの施しが身にしみたはずだ」

俺「……そっか」

83: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:16:21 ID:6RHahQcJM

俺「あー、なんか、うん。すっきりしたよ」

俺「そろそろ行くよ、バスに間に合わなくなるといかないしな」

猫「待て」

俺「ん?」

猫「せっかく知りたいことを教えてやったんだ」

猫「ジャーキーの一本ぐらい、よこしてけ」

俺「へいへい」

86: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:21:47 ID:6RHahQcJM

俺「……じゃあ、そろそろ本当に行くわ」

猫「次に帰ってくるのはいつになりそう?」

俺「んー、次はやっぱりコタツがリビングに出るころかなあ」

猫「じゃあ、それまでは静かなわけだ」

俺「本当は寂しいんだろ。強がらなくていいぞ」

猫「わたしは本気でおまえをうっとうしいと思っている」

俺「傷つくなあ」

猫「だけど。おぬしがいつ帰ってきも、わたしは確実にここにいる」

俺「おう」

87: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:23:04 ID:6RHahQcJM


俺「また帰ってくるからな。いってきます」

猫「待っててやる。いってらっしゃい」




89: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:24:11 ID:6RHahQcJM

おわり

ここまで読んでくれてありがとうございました

91: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:25:54 ID:ZwZDcDTgN

92: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:26:18 ID:XqVPM1863
猫系の話ってたいてい猫がご主人様ーとか言ってなついてるけどこの猫はいかにも猫って感じですね
よかったよ

94: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:30:22 ID:kaJB2RPH0
猫の名前はれみであってるんよな?

96: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:40:43 ID:hR20SXCLF
私もうちの猫と人間語で話してみたい

98: >>1スマホから 2014/08/30(土)00:50:47 ID:bABSFS060

猫の名前はレミです
最後にレミの画像を三枚ほど

no title

no title

no title


改めて読んでくれてありがとう

99: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)00:53:39 ID:kthxoZGiH
うちの猫もこんな風に思ってくれたらいいなあ
そしてレミ可愛いいイィ!!

100: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)01:02:42 ID:xyOBi2Jtw
深い話だ

うちもずっと猫がいる家庭だから
実家に帰りたくなりました

ありがとう

101: 名無しさん@おーぷん 2014/08/30(土)01:10:43 ID:5tJA7OoBO
台詞回しが独特で内容に引き込まれたよ
もちろん画像は保存させてもらった