引用元:チラシの裏 1枚目 @生活サロンopen2ch
http://uni.open2ch.net/test/read.cgi/lifesaloon/1339232835/


699: 名無しさん@おーぷん 2016/07/10(日)12:25:30 ID:w7q
実家に住んでいる父が病気で入院した
亭主関白で仕事馬鹿で子供に構わずいつも怒っている印象しかなかった厳格な父だが、
高齢になり、病気のせいもあり、見るからに痩せ細って衰えてしまった
あと1年以内の命かもしれないし、3年くらいもつのかもしれない、術後の経過次第という状況だ
そんなわけで、往復8時間掛かる病院だが週に一回足を運んでいる
とは言え、行って何かをするでもない
父はほとんど黙ってテレビを眺めているので、私は母と話したりボンヤリ座っている程度
個室なので4~5時間くらいいさせてもらうが、その間、父とは二言三言しか話さない
もともとお互い無口なのだ

そんな週末がいくつか過ぎたが、先日従兄・従姉が見舞いに来てくれた
彼らはたくさんの土産を私たちに手渡し、終始父の手をぎゅっと握り、
自分たちがいかに伯父を愛しているかを熱く語り、従甥・従姪も貴方が好きだと力説し、
病院での待遇や執刀医の腕の心配をし、未来の話をたくさんして明るく励まし、
外国生活が長い人たちなので最後に抱擁と額に熱くキスをして帰って行った
嵐のような一時間だった
父は相変わらずほとんどしゃべらなかったが、
彼らが去った後「うるせえ」とひとこと言ってまたテレビを見出した
でもまんざらではなさそうだった
血圧の上昇も無かった
そして私は、「見舞いとはああ在るべきなのかもしれないなあ」と漠然と思った
私のたった二言三言が父にどれだけ伝わっているのだろうと疑問に思えた
しかしやはり私にとっては父は父なので、根拠のない励ましや、愛を表現する事はできないとも思った

その日は帰り際になんとなく父の手を握ってみたが、父は何だか気恥ずかしそうにしてしまった
私も、これではまるで今生の別れで次はもう無いみたいではないかという気がしてしまった
いつもと違う事をすると不安になるものだ
だから次回行った時も手を握ってみようと思った
父に何かが伝わるといいのだが